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立ち読みコーナー 『サッと作れる零細企業の就業規則』

<第1章>10人未満の会社 就業規則は業務マニュアルとしても活用できるか?

就業規則はこの際業務マニュアルとしても活用する

 これを読んでいただいている社長さんには、就業規則は作成しておかなければならないなということを、ご理解いただけたと思います。今回、せっかくこの本を手にしていただいたわけですから、もう一つ提案したいことがあります。

 日常、御社での仕事をする上でのルールがあると思います。そのルールを就業規則作成時に盛り込み、就業規則を業務マニュアルとして活用される事をお勧めします。

 例えば私どものような仕事であれば法律改正に沿った対応が必要になりますので、不確かと思ったら必ず役所に念のため確認する、報酬が入金になればお礼状を書く等、業務のマニュアルを就業規則の中で決めておけば、就業規則が単に従業員の労務管理だけでなく、売上の基本マニュアルとしても活用できるようになります。

 私は多くの中小企業を訪問させていただいておりますが、どこの会社にも他社にないオリジナルのノウハウ・マニュアルがあります。もし思いつかないのであれば、日々の仕事でやっていることが御社のマニュアル、と思って文書化することをお勧めします。そのようにしておけば、新入社員が入社した時も、導入研修がスムーズに運ぶのではないかと思います。

 ただでさえ人手がない零細企業です。社員教育など基本的にやっている時間がないと思われます。入社したら即戦力として働いてもらうというのが、零細企業の現実だと思います。だとすれば、こうした就業規則があることにより、従業員も逆に安心してこの会社はしっかりしていそうだなということで、働いてくれるのではないでしょうか?従業員さんの家族にも当然そのことは伝わっていくのではないかと考えます。

「解雇の判例」
日本食塩製造事件(最二小判 昭50.4.25)
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」

高知放送事件(最二小判 昭52.1.31)
「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇し得るものではなく、当該具体的な事情の下において、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になるというべきである。」

「当事務所での取り扱い案件」
 ある社会福祉団体の職員は、業務が無くなったため解雇通知を受けました。ところが、それを不服とした職員から不当解雇という事で裁判になりました。解決に約1年、最終的に不当解雇ということで職場復帰をされました。この裁判を通して私なりに感じた事は、裁判官は労働者寄りの判断をされる傾向が強いということです。これでは、日本の会社は相当な理由がなければ解雇ができない、一方で、労働者側は法律を都合のいいように解釈して対抗してくるわけです。労働基準法は会社経営者側の配慮は殆どされていない法律であると思い知らされました。
 復帰した職員は十分な仕事もせずに高い給料をもらい続けているとの事です。この解決までの裁判所、弁護士・復帰までの給料の支払いなど莫大な経費と裁判にかかる貴重な労働時間を喪失しております。あなたの会社も他人ごとではないと思ってこの本を読んでいってください。

10分ノート(第1章のまとめ)
経営資源の最も少ない零細企業の社長こそ労働基準法では義務化されておりませんが、就業規則を作成して、経営に重大な影響を与えるような労務災害に遭遇した場合の対策をしておかなければならない。作成しておかなければ会社、いや社長を守れないような事態になることがある。また作成した際には、職場の業務ルールも文書化して就業規則を会社の業務マニュアルとしても、活用し、売上向上の戦略として活用する。

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