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立ち読みコーナー 『サッと作れる零細企業の就業規則』

<第6章>10人以上になったとき 就業規則の改定

10人以上になったら届け出る

 社長さん、ここまで読んでこられて就業規則の必要性や、中小零細企業でも作成して、届け出までしたほうが、会社経営にプラスになるとご理解していただけたと思います。

 次は、今後あなたの会社が順調に発展して、従業員も増員する必要がでてきて、従業員が10名以上になってきたら、就業規則はそのままでいいのかどうか考えてみたいと思います。私が保険会社の拠点長をやっていたころ、一番営業職員の少ない店舗で、赴任した当時は職員5名前後の陣容であったかと思います。その後、2年間で約20名近い陣容まで、営業職員を拡大してきましたが、確かに職員が10名を超えたところから、組織としての人間関係に悩み苦しんでいたことを思い出されます。労働基準法では、従業員が10名以上になったら、就業規則の届け出が義務化されてきます。従って、10名以上になれば、当社は就業規則は作成しておりませんでしたなどということは、通用しなくなってきます。届出がないと30万円以下の罰金に処せられることもあります。10名以上になれば、労働基準法に定められているように、職場のルールがないと組織としての運営に支障が出で来ると、自分の些細な経験ですが、思っております。その点でこの法律は、理にかなった定めかと思います。

 零細企業のように従業員2・3名の会社であれば、社長と従業員というように2階層の組織で、組織的には、非常にまとめやすい組織であると思います。しかし10名以上になると、やはり組織は社長・部長・従業員というように3階層の組織になってくると思われます。昔からよく言われておりますが、組織は3割が会社にいてほしい人材・3割がどちらともいえない人材・3割がいなくてもいい人材といわれております。これは真実だと思います。私も、保険会社時代全体で30名の職員のうちダメな職員を10名退社させていけば組織は再生してくると考え実施しましたが、しばらくすると、今までどちらともいえない人材の方が不思議にもいなくていい人材に変わってしまうものです。組織とは不思議なものだとよく思ったものです。中小零細企業では、もともと素晴らしい人材が入社してくる確率は極めて少ない訳ですから、大事に育てるという視点が重要ではないかと思っております。そうした時に従業員を育成するツールとして就業規則は十分活用できると思います。社長さん、仮に、御社に優秀な従業員が入社したらどうですか? 最初はいいかもしれませんが、いずれ社長さんの経営に文句を言ってくるようになりますし、やがて御社のノウハウをもって独立してやがて、社長さんのライバルになってくる可能性があります。私は中小零細企業の採用人事は人柄の良さを重点に採用するべきであると考えています。

 社長さんいかがですか? 従業員2・3名の会社から10名以上の会社に成長するには、かなりの壁があると思います。

 就業規則の届け出の義務がない社長さんであれば、10名以上の会社に成長した時、就業規則を作成し、届け出ればいいのではないかとお考えかと思いますが、これまでお話してきたように成長の壁を破るためにも経営戦略として就業規則の有効活用を積極的に考えてもいいのではないかと思います。

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