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就業規則と判例<2>

日々現場で起きている問題に、裁判所がどのような判断を下しているかを学びましょう。

【就業規則の変更による労働条件不利益変更】肯定事例

タケダシステム事件

(最高裁 昭和58.11.25、東京高裁 昭和62.2.26)

概要
使用者が、労働者または労働組合の同意を得ないまま、就業規則中の「女子従業員は、毎月、生理休暇を必要日数だけとることができる。そのうち年間24日を有給とする」との規定の後段を、「そのうち月2日を限度とし、1日につき基本給の1日分の68パーセントを補償する」と一方的に変更した。

判決
就業規則の変更が合理的なものか否かを判断するにあたっては、変更の内容および必要性の両面からの考察が要求され、変更により従業員の被る不利益の程度、変更との関連のもとに行われた賃金の改善状況のほか、変更前の規定のもとにおいて有給生理休暇の取得について濫用があり、社内規律の保持および従業員の公平な処遇のため変更が必要であったか否かを検討し、さらに労働組合との交渉の経過、他の従業員の対応、関連会社の取扱、わが国社会における生理休暇制度の一般的状況等の諸事情を総合勘案する必要がある、として差戻した。

差戻審判決(東京高裁 昭和62.2.26)
従業員の被る不利益がさほど大きくないこと、社内規律の保持および従業員の公平な処遇のため必要な措置であったこと、組合との調整が困難であり組合の合意を得ないで変更した会社の措置がやむをえないものであったこと、生理休暇の取得に相当の配慮をしていることなどを総合勘案して、就業規則の変更には、その内容および必要性のいずれの面においても十分な合理性があった。

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