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就業規則と労働審判
”鉄壁の就業規則”で、新聞沙汰にならないようにして下さい常磐大准教授試用後解雇訴訟:大学側が争う姿勢 労働審判は「無効」認める /茨城
常磐大(水戸市、諸沢英道理事長)で試用期間終了時に准教授の50代女性が解雇された問題で、女性が大学に地位確認と未払い賃金の支払いなどを求めた訴訟の第1回口頭弁論が30日、水戸地裁(吉田純一郎裁判官)であった。大学は「女性は教員として不適格で、解雇には合理的な理由がある」とする答弁書を提出。5月に同地裁であった労働審判は女性の主張通り解雇無効を認めたが、大学は全面的に争う構えだ。
双方の書面によると、女性は常磐大と5年契約を交わし、09年4月から准教授として勤務。しかし同年9月、半年の試用期間が終了した時点で解雇を言い渡された。女性は今年2月に労働審判を申し立て、水戸地裁は5月13日付で解雇無効を確認し、昨年10月以降の未払い給与を支払うよう大学に命じた。大学が異議を申し立てたため裁判に移行した。
大学は解雇理由について▽女性が論文指導を担当する大学院生に威圧的な言動をとり、大学院生が心労で倒れるなど指導に問題があった▽他の教員について事実無根のことを言うなど教員間の協調性を欠いた、と説明。女性は、大学が指摘する大学院生や教員への言動は「事実誤認」と否定し「ずさんな調査で解雇が行われた」と反論している。
大学教員に対する試用期間中の解雇を巡り、女性は採用の際に模擬授業など資格審査が入念に行われており「解雇は限定されるべき」と主張。大学は「教員としての適格性の無さは学生指導で判明した。模擬授業などで判断できない」と解雇に問題がないとの立場を強調している。
大学職員の労働紛争に詳しい片山一義・札幌学院大准教授(社会政策)によると、就業規則で形式的に試用期間が定められているケースは多いが、実際に適用されて解雇される例は「聞いたことがない」という。常磐大は毎日新聞の取材に「契約期間終了に伴い契約を終えた。それ以上はコメントできない」としている。
労働審判制度は労働紛争を早期に解決するため06年4月に導入され、原則3回以内の法廷で労働審判官(裁判官)や専門知識を持つ労働審判員が解決案を示す。異議がある場合は正式な裁判に持ち込まれる。【原田啓之】
[毎日新聞社 2010年8月31日(火)]