就業規則に関するニュース <8>-1
就業規則と公務員
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被災自治体 残業代減額 相次ぐ 住民に配慮 組合反発
東日本大震災の被災自治体で、復旧の最前線で働く職員の超過勤務手当の減額や支給見合わせが相次いでいる。打ち切りにしたり、休日に振り替えたりして額を抑える。被災住民への配慮が背景にあるが、職員組合から反発も。総務省は「被災した市町村も勤務実態にのっとった支給を」とし、識者は「未曽有の震災で手当のあり方の検討が必要」と指摘している。(宮下洋介、前田毅郎、池田寛樹)
岩手県釜石市は職員340人の3月の超勤手当が1億4000万円に上る。昨年同月の25倍で、野田武則市長は「被災者に配慮すると全額支給は難しい」と判断。1日の上限が4200円の「宿日直手当」に置き換えて支給した。額は10分の1になり、職員組合は「家族も捜さずに働いた職員もいるのに、一方的でおかしい」と反発。労使が交渉を続ける事態となっている。
同県大船渡市は手当が1億円を超え、職員組合と協議し、額に応じて休日を与えることにした。「過酷な勤務で休暇が必要」と職員側も了承。ある職員は「法律上の問題は承知しているが、手当をすべてもらうことはできない」と話した。
宮城県女川町は、一般職員147人の3月の時間外勤務手当を支給しなかった。町総務課によると、残業時間が計算できず、町民のほとんどが被災していることを考えて時間外勤務を「ゼロ」とした。同課も「町民が大変な時に多額の残業手当の支給はできない」としている。
同県石巻市は、課長補佐級以下の職員1349人の3月11日~同31日の時間外勤務計16万2667時間分について、手当単価を1時間当たり1900円に統一して支給。市人事課によると、支給総額は半額以下に抑制された。
同県南三陸町も残業時間は膨大で、手当の全額支給はできていない。町総務課の須藤敏一課長補佐は「全額払いたいが、予算の中で支払わざるを得ない。職員は手当のために残業しているのではなく、使命感で働いている。住民の理解を得ながら、最大限払っていきたい」と話した。
また、福島第一原発事故の対応に追われる福島県南相馬市は、超過勤務手当はこれまで未支給。市は「原発事故での職員の勤務は東京電力や国への請求を検討している」としている。
一方、宮城県名取市は、3月分の超過勤務手当が1億6000万円に上り、半減して支給。その後、労働基準法に触れるとの県からの指摘を受け、一転して全額を支払った。ところが、市民から「なぜ公務員だけたくさんもらうんだ」と批判が相次いだという。
労働問題に詳しい浜田冨士郎・神戸大名誉教授は「法的に支払うのが当然。ただ、大震災という特殊な状況で、職務命令が手当の支払いを意識していたか、被災者を横目に受け取る職員の気持ちはどうなのかという問題は残る。運用面で検討課題になる」と話している。
[読売新聞社 2011年7月8日(金)]