【困った事例から学ぶ!】
スマホ時代の就業規則 ココがポイント<1>
"鉄壁の就業規則"で、モンスター社員にビシッといえるようにする
フェイスブックに会社の情報が書き込まれる・・・
《こんなこと、あって良いのですか!》
A社の社内で、フェイスブックが流行りだした。一気に普及して、社員の多くが使い出した。おかげで社内でも『友だちの輪』が広がり出した。
問題は、その書き込みである。
会社に対する愚痴とか批判とか、配転や左遷といった噂話が多く、なかには社内の某幹部に対する痛烈な批判も―。
困ったのは、その『友だちの輪』の中には、当然社外の人も多く混じっていることだ。ヨソに知られて欲しくない内部事情まで書き込まれたので、まるで恥さらし状態。
この『友だちの輪』の中には、当然、会社の幹部は入れてもらえなかったが、社員レベルでは過半数が入っていた。
だから幹部も事情を知るよしもなく、社長に対する問題の報告もなされなかった。
漏れてはならない内部情報が外部に漏洩したことを社長が知ったのは、社内の誰よりも後だった。
就業規則はココがポイント 失敗から学ぶ教訓
服務規律を整備する
これからの就業規則は、職場の秩序維持、それがテーマになります。いわゆる常識外れの、常識なしのモンスター社員に対して、ビシッといえるようにしなければなりません。そのために重要なのは「服務規律」と「懲戒」の規程です。
皆様におかれましては、例えば次のような就業規則はございませんか?
従業員は次の事項を守らなければならない。
(1)常に健康に留意し、明朗な態度を持って就業すること。
(2)常に品位を保ち、会社の名誉を害し、信用を傷つけるようなことをしないこと。
(3)会社の業務上の機密事項を他に洩らさないこと。
(4)会社の車両・機械・器具・その他の備品を大切にし、原材料・燃料その他の消耗品を節約し、製品及び書類等は丁寧に取り扱い、その保管を厳にすること。
(5)許可なく職務以外の目的で会社の設備・車両・機械・器具・その他の物品を使用しないこと。
(6)他の従業員の業務を妨げ、または職場の風紀秩序を乱さないこと。
(7)職務に関し、不当な金品の借用または贈与の利益を受けないこと。
(8)所定の場所以外で喫煙し、また、たき火・電熱器等の火気を許可なく使用しないこと。
(9)作業中は飲食・喫煙せず理由なく職場をはなれないこと。
(10)酒気を帯びて就業しないこと。
(11)機械・器具・その他設備は大切に取扱い、故障、破損を起しまたは紛失したときは直ちに係員に報告すること。
(12)工場を縦覧させたり、建物・機械等の摸写をする場合等、部外者の立入は会社の許可を受けなければならない。
こういうのを昔風の就業規則といいます。のどかといいますか、“古き良き時代”の昭和の就業規則です。これではイマドキのモンスター社員には対抗できません。
イマドキの就業規則は、服務規律の充実が必要です。「服務規律」と一言で言いましても、㈱北見式賃金研究所が提案する就業規則には次の内容が盛り込まれています。ここまでして、初めて“鉄壁の就業規則”といえるのです。
[服務上の遵守事項]
[管理監督者に対する特別な遵守事項]
[情報機器等の使用]
[電話の使用]
[安全運転および車両管理]
[個人情報の保護]
[機密情報の管理]
そして“鉄壁の就業規則”の服務規律の重要箇所[機密情報の管理]をココにご紹介しましょう。
企業の機密である情報を社外に漏洩してはいけません。顧客名簿等の顧客に関する情報、技術に関する情報、生産に関する情報、販売に関する情報等は、当社の機密情報に該当します。
2、これらの機密情報は、勝手に複写してはいけません。複写する時は上長の許可が必要です。
3、これらの機密情報が入った文書、写真、図面、磁気テープ、フロッピーディスク、USB、CD、MD、MO、DVD、サンプル及び開発中の製品、これに類する装置・設備その他これに関する一切の資料並びにその複写物を社外に持ち出してはいけません。持ち出す時は上長の許可が必要です。
4、ネット上の掲示板やブログ、ツイッター、フェイスブックなどで機密情報を外部に漏洩しないこと。
5、ネット上の就職サイトに会社の承諾なく、会社に関する書き込みをしないこと。
6、従業員は在職中はもとより退職後においても、会社から許可を得た場合を除き、企業機密を第三者に漏洩してはなりません。
このように[機密情報の管理]という項目を、服務規律に加えることが必要です。それが“鉄壁の就業規則”になる急所です