【困った事例から学ぶ!】
スマホ時代の就業規則 ココがポイント<2>
"鉄壁の就業規則"で、モンスター社員にビシッといえるようにする
『転職会議』で“就職してはいけない会社”にされてしまった・・・
《こんなこと、あって良いのですか!》
A社の社長は首を傾げていた。人手が足りなくなり求人広告を打ったのだが、応募がない。電話がさっぱりかかってこないのだ。いつもなら多くの応募者があるはずなのにである。
しばらくして某社員が社長にコッソリ耳打ちしてくれた。
「社長、書かれていますよ」とー。
それは『転職会議』というサイトで「絶対入ってはいけないブラック企業」として書き込まれていたのだ。その数20本以上ー。
社長はその書き込みを読んで怒りが爆発した。内容を読んで“犯人”はすぐ見当がついた。最近辞めた元従業員数人の“計画的犯行”だった。
『転職会議』で実社名を上げて書き込まれた内容
求人地雷注意報
転職 ブラック企業です。サービス残業蔓延の労基法違反会社。夜22時まで働かされて残業代はゼロ。求人票に書かれていた内容と全然違う。詐欺だと思ってすぐ辞めました。
ワンマンな社長
インターンシップと雇用促進制度をただ働き人員確保制度と思っている。ワンマン体制が嫌で160名ほどが一気にやめていったみたい。元役員を馬頭し、土下座させたそう。利益がすべてに優先。
取引をしている会社に勤める者です。複数の営業から聞いた話では「プライドの高い人ばかり」「雰囲気は悪い」「接客態度がなってない」とのことでした。
電話対応が悪いです。尚なぜか上から目線で話して挙げ句の果てに逆ぎれされました。担当してくれた人もさまざまいきましたが一番対応が良くないです。今までいった中で最悪です。特に条件もつけていませんし、経験も自信がありますが仕事もないそうです。オススメしません。
就業規則はココがポイント 失敗から学ぶ教訓服務規律を整備する
これからの就業規則は、職場の秩序維持、それがテーマになります。いわゆる常識外れの、常識なしのモンスター社員に対して、ビシッといえるようにしなければなりません。そのために重要なのは「服務規律」と「懲戒」の規程です。
皆様におかれましては、例えば次のような就業規則はございませんか?
従業員は次の事項を守らなければならない。
(1)常に健康に留意し、明朗な態度を持って就業すること。
(2)常に品位を保ち、会社の名誉を害し、信用を傷つけるようなことをしないこと。
(3)会社の業務上の機密事項を他に洩らさないこと。
(4)会社の車両・機械・器具・その他の備品を大切にし、原材料・燃料その他の消耗品を節約し、製品及び書類等は丁寧に取り扱い、その保管を厳にすること。
(5)許可なく職務以外の目的で会社の設備・車両・機械・器具・その他の物品を使用しないこと。
(6)他の従業員の業務を妨げ、または職場の風紀秩序を乱さないこと。
(7)職務に関し、不当な金品の借用または贈与の利益を受けないこと。
(8)所定の場所以外で喫煙し、また、たき火・電熱器等の火気を許可なく使用しないこと。
(9)作業中は飲食・喫煙せず理由なく職場をはなれないこと。
(10)酒気を帯びて就業しないこと。
(11)機械・器具・その他設備は大切に取扱い、故障、破損を起しまたは紛失したときは直ちに係員に報告すること。
(12)工場を縦覧させたり、建物・機械等の摸写をする場合等、部外者の立入は会社の許可を受けなければならない。
こういうのを昔風の就業規則といいます。のどかといいますか、“古き良き時代”の昭和の就業規則です。これではイマドキのモンスター社員には対抗できません。
イマドキの就業規則は、服務規律の充実が必要です。「服務規律」と一言で言いましても、㈱北見式賃金研究所が提案する就業規則には次の内容が盛り込まれています。ここまでして、初めて“鉄壁の就業規則”といえるのです。
[服務上の遵守事項]
[管理監督者に対する特別な遵守事項]
[情報機器等の使用]
[電話の使用]
[安全運転および車両管理]
[個人情報の保護]
[機密情報の管理]
そして“鉄壁の就業規則”の服務規律の重要箇所[機密情報の管理]をココにご紹介しましょう。
企業の機密である情報を社外に漏洩してはいけません。顧客名簿等の顧客に関する情報、技術に関する情報、生産に関する情報、販売に関する情報等は、当社の機密情報に該当します。
2、これらの機密情報は、勝手に複写してはいけません。複写する時は上長の許可が必要です。
3、これらの機密情報が入った文書、写真、図面、磁気テープ、フロッピーディスク、USB、CD、MD、MO、DVD、サンプル及び開発中の製品、これに類する装置・設備その他これに関する一切の資料並びにその複写物を社外に持ち出してはいけません。持ち出す時は上長の許可が必要です。
4、ネット上の掲示板やブログ、ツイッター、フェイスブックなどで機密情報を外部に漏洩しないこと。
5、ネット上の就職サイトに会社の承諾なく、会社に関する書き込みをしないこと。
6、従業員は在職中はもとより退職後においても、会社から許可を得た場合を除き、企業機密を第三者に漏洩してはなりません。
このように[機密情報の管理]という項目を、服務規律に加えることが必要です。それが“鉄壁の就業規則”になる急所です。