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立ち読みコーナー 『サッと作れる零細企業の就業規則』

<第6章>10人以上になったとき 就業規則の改定

10人以上になればショウサイな規則も必要になる

 めでたく会社が発展を続けていき、従業員も10名以上の組織になったら、就業規則はどうすればいいのかと思われているのではないかと思います。売上も1億の壁を突破して、いろんな苦労を重ね、人材も10名以上の会社に成長してきたのだと思います。労務管理にも苦労してきていると思います。この本で提案の就業規則をそのまま労働基準監督署へ届け出されてもいいと思いますが、私の経験では、10名以上の従業員になったなら、就業規則も一歩進んで、詳細な項目まで、見直しをお勧めします。その際には、私共のような専門家に相談をしながら、見直しをされることをお勧めします。具体的には解雇事由とか懲戒解雇事由などの項目は時代の変化とともに、詳細な内容に見直しをしておくべきだと思います。たとえばセクハラの防止規定などは、10年まえの就業規則で規定されている会社はあまりありませんでした。しかし、現在は殆どどこの会社でも記載されていると思います。また、育児・介護休業も法律がよく変化していくので、10名以上になれば、詳細な別規定が必要になってくるとおもわれます。退職金などについても、10名以上になれば、真剣に考える時がやってくると思います。退職金規定は一旦就業規則で制度化してしまえば、会社として必ず支払う義務が発生してきます。退職金はないということであればそのように定めでおく必要があるとおもいます。

 10名以上になれば、賃金規定も社長さんの考えが反映された、規定に制度化していく時期にきていると思われます。

 よく賃金コンサルタントの本をよんで、職能資格制度のような制度を導入して賃金表を作成している社長さんがおりますが、私の個人的な意見では中小零細企業の場合は、賃金制度はあまりこったものにしないで、単純な制度で十分であると思います。検討するとすれば、10名以上の従業員数になった時が検討するときかもしれないと思っております。以上のように10名以上になると組織も3階建てになり、労務管理の全体的視点からみても大きく変化していく時期であります。それは、就業規則をより詳細な内容への規定が必要とされてくる時期と重なります。10名以上の就業規則は、いろんな本が出版もされておりますので、専門家とか本を参考にされるのもいい方法であると思います。

 昨年紹介を受けて、就業規則を見直しする、創業50年近い、歴史のある従業員約60名の会社でこんなお話がありました。2代目の社長さんとお話していましたら、当社では創業以来解雇したものは一人もなく、創業以来労使のトラブルのようなことは一度も発生したことはないとのことでした。そのお話をお聞きして、なんと素晴らしい会社かと思いました。確かにこのような会社であれば法律では就業規則は確かに必要ですが、実務は不用でも問題ないかもしれません。よくお話をお聞きするとやはり先代の社長さんの人柄やカリスマ性が素晴らしいことが分かりました。

 やはり、中小企業は経営者で約9割経営は決まるといわれますが、この会社の事例はまさしくそれを物語るものであると感じました。

 時々私も仕事の目的とはなにか?といったことを考えることがあります。この前ある有名な社長がこのようなお話をされておりました。

 私は事業を始める時は、以下の三つのポイントが全部クリアーできるかどうかで考えるとお話されておりました。

 その1 私はその新規事業が社会に貢献しているかどうか?
 その2 私はその事業が儲かるかどうか?
 その3 私はその事業をやることによって気持がワクワクするかどうか?

 いかがですか?またランチェスター経営で有名な竹田先生は経営の目的はお客様を創ることにあるとお話しされております。たしかに経営の目的をお金儲けにもっていくならば、会社は不動産投資とか、株式投資に走ったりしてかつてのバブル期の多くの経営者が、失敗していった歴史を教訓にすれば理解できるのではないかとおもいます。

 就業規則作成も、経営者の思いが形になるような、社会的に貢献して従業員が給料がアップして、規則をよんでいるとワクワクなるような就業規則を10人以上になったら、検討して作成していくのもいいのではないかと、私の勝手な考えですが思っております。最後にわたくしは、零細中小企業の従業員はなんだかんだといっても、最終的には社長さんそうです社長さんのことが大好きだから働いてくれるのではないかと思っております。

10分ノート
会社が順調に成長して従業員が10名になったら、就業規則は労働基準監督署に届け出が必要になります。その際に諸規定についても、この際より詳細な規定に見直しをする時期であると思われます。

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