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立ち読みコーナー 『サッと作れる零細企業の就業規則』

<第1章>10人未満の会社 就業規則は業務マニュアルとしても活用できるか?

小さな、零細な会社にこそ就業規則は必要

 日本全国で約300万社近くの法人会社がありますが、そのうち従業員100人未満の会社が98パーセントでさらに10人未満の会社になると80パーセントを占めると言われています。なんと日本の企業の240万社が零細企業になります。そのほとんどが家族的経営で従業員が1人ないし2人のような零細企業も多いように思われます。うちの事務所も従業員3人の零細企業です。もし私が、社会保険労務士の仕事をしていなければ、日々の業務に忙殺され、就業規則の作成といったことは、法律で作成し、届け出が義務化されていなければ、認識することはないと思います。なぜなら、10人未満の零細企業の社長はなにからなんまで、社長が業務をこなしていることが多いため、毎日仕事に追われていると予測されます。従業員とは家族的な関係であり、日々の会話で十分意思疎通は図られていると思います。なので、就業規則の作成まで考えない状況であると思います。

 しかし、経済状況が比較的安定している時代であれば、これですんだかもしれません。しかし、リーマンショックのようなことが起こり不況になると、真っ先に影響を受けるのもまた、中小零細企業であると思います。もし、この本を読んでいただいている社長さんの従業員2名のうち1名に辞めていただかないと会社をやっていけない状況になったときどうしますか?

「会社の業績が悪いので辞めてくれないか」と相談しても、この不況下であれば、よほどの人間関係でもなければ、「はい、わかりました。」とはならないと思います。従業員からみれば、これまで社長の右腕となってこれだけ働いてきたのに不況だから辞めてくれと言われても「冗談じゃない」と考える、このように予測します。

 その場合、次はどうされますか?最終的な方法は解雇ということになります。解雇とは従業員からみれば、生活権を脅かされる死刑の宣告と同じであります。これまで家族的関係が強ければ強いほど、その悲しみは深いものがあると思います。逆に裏切られたとの感情が湧きあがってくると思います。従業員に学費のかかるお子さんがおり、奥さんが仮に専業主婦であれば、社長の解雇通知は従業員とその子供さんと奥さんにも死刑宣告を告げたことになります。

 社長さん、さあ、これからどうなるでしょうか?社長さん、従業員を解雇するって想像以上に大変なことなのです。

 解雇された従業員は誰かに相談すると思います。真っ先に考えられるのが、労働基準監督署へいかれるケースが多いと思います。監督署はお役所ですから、「どういう理由で解雇になりましたか?」「解雇予告手当はもらいましたか」などと言ったことを聞いてくると思います。さらに、「就業規則に解雇の理由が明示されていますか?」などと質問してくると思います。

 さあ、社長さん、あなたの会社に就業規則を作成していなかったらどうしますか?法律では就業規則等で、解雇の具体的事例に該当しなければ、その解雇は無効であるとなっております。もし、定めていなければ、その解雇は無効とされ、裁判にでもなれば、社長の立場は極めて劣悪な状況になると予想されます。

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